連日の厳しい寒さで電力需要が急激に上昇し、ネット上では停電するのではないかなどと懸念する声が増えてきた。実際はどうなるのか調べてみた(2021/01/12)。
(東京電力パワーグリッド)
※現状、需給対策として計画停電は行わないことが明記されている。
現状
(東京電力パワーグリッド)
・寒さにより例年より大幅に電力需要が増加
・対策を進めているが、全国的に発電用燃料の在庫が少なくなるリスクが高まり、1日の電力使用量確保が厳しくなることも予想されている
需給逼迫時の対応
電力の安定供給には、需要側と供給側(発電量)のバランスを一定にすることが必要。
(OCCTO=電力広域的運営推進機関)
バランスが崩れると
・周波数が乱れる(発電量が落ちると、周波数が低下する)
→周波数の低下により、発電機が連続的に停止する
→広域大規模停電の発生
こんな流れになるようだ。
つまり通常時、発災時を問わず、電力供給は需要とのバランスが非常に重要ということになる。
対策
調整役の電力広域的運営推進機関の対策は次の通り。
・電気事業者間の融通
一般送配電事業者に対するエリア間の電力融通などを指示
・火力発電所の増出力運転(供給力対策)
・国による節電要請
この冬の対応(2021年1月11日現在)
寒冷な気候条件が続き、全国的に需給バランスを保つ調整用電源の供給不足が継続的に発生。
・OCCTOが2021年1月6日に「非常災害対応本部」立ち上げ。
以下の対応を実施
一般廃送電事業者への融通指示
(2020年12月15日〜、132回)
東京電力パワーグリッド 計5回
例:1月8日
(OCCTO)
発電事業者と小売電気事業者に対する発電指示
(2021年1月6日〜、2回)
・東京電力パワーグリッドを含むエリア
発電設備を最大出力で運転
発電余剰分を対象エリアに投入
地域間連系線の運用容量拡大
(2021年1月8日〜、3回)
・対象はいずれも中部関西間連系線
参考:需給改善指示
「東北から東京に最大何万キロワットの電気を供給すること」 のような指示が全国的に飛びまくっている様子がわかる。
参考:計画停電(原則不実施)
計画停電が必要なケース
・不実施が原則(社会経済活動への影響が大きい)
・需給状況が改善しない場合、国、OCCTO、逼迫エリアの一般廃送電事業者の共通判断で実施する場合がある
計画停電はどのように行うか
(OCCTO=電力広域的運営推進機関)
・発電不足量に応じて需要を制限する
・事前に不足量を算定し、不足量に応じて計画的に停電を行う。
・停電する地域が必要最小限となるよう調整する
・事前に停電地域と時間帯を知らせることで停電に備えてもらうことになる
参考:電気新聞(1月10日)
・冬季は設備容量より、運用面での燃料確保が重要。
・LNG火力の出力低下が複数エリアで発生する異常事態
・LNGは余剰気味だが、長期保存すると気化するため、夏に仕入れて冬に使う運用ができない。
・LNGの在庫不足はすぐには解消されない
・打てる手は需要の抑制しかない
感想・まとめ
使用者としては、これに尽きるかな。
(東京電力パワーグリッド)