JAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発中の次世代ロケットH3の第一段エンジン部分に技術的課題が確認されたとして、2020年度と2021年度の打ち上げがアナウンスされていた試験機初号機、試験機二号機の打ち上げがそれぞれ1年程度延期された。JAXAの告知内容ではなんだかよくわからないので、少し調べてみた(2020/09/13)。
告知内容(2020/09/11)
(JAXA)
・H3ロケットの1段目用として開発中のエンジンに技術的課題が見つかった
・技術的課題を確実に克服するため、打ち上げのスケジュールを以下に変更する
試験機初号機 2021年度(当初2020年度予定)
試験機二号機 2022年度(当初2021年度予定)
何が問題になったか?
問題になったのは新型の大型液体ロケット「LEー9」
JAXAのプロジェクトサイトに紹介記事が掲載されている(2020年7月)。
・ロケットの機能を1つ1つ丁寧に確認する機能試験を実施。
・簡単なトラブルから機器間の信号がわずかにずれてうまく通信できないなど、様々なトラブルが発生。
・機能試験が終われば、試験機初号機の機体を種子島宇宙センターに運んで組み立て、地上設備とのインターフェースを確認する総合システム試験が行われることになっている。
詳しい問題点と対応策(報道ベース)
・2020年5月実施のエンジンの試験で課題が見つかり、設計の一部に変更が必要になった。
・エンジン内部の燃焼室の内壁が想定を超えて高温になった
・燃焼室と呼ばれる部分に長さ1センチほど、最大幅0・5ミリほどのひびが14箇所見つかった。
・燃料を送り込むターボポンプの機器内部(タービンの羽根2枚)にもひびが見つかった
・対応策
・内壁を燃料の水素で冷却する
・タービンの設計を見直す
参考:H3ロケット
(JAXA)
・全長 63m
・打ち上げ能力 4トン以上(高度500キロ)
・全備質量 574トン(固体ブースター4機の場合)
・現在運用中のHーⅡAロケットの後継機
・2020年度から20年間を見据えて、年間6機程度を安定して打ち上げたい
・柔軟性、高信頼性、低価格を実現
柔軟性
利用用途にあった価格、能力のロケットを提供
受注から打ち上げまでの期間短縮→年間の打ち上げ可能機数を増やす
射場整備期間をHーⅡAの半分以下に短縮する
高信頼性
HーⅡAの成功率、予定した日時に打ち上げられる率を継承
低価格
民生品の活用、受注生産からライン生産に近づける
固体ロケットブースターを使わない場合、約50億円目指す
・過去最大のパワーと多様な形態
※固体ロケットブースターを0本、2本、4本と変えられる
感想・まとめ
できれば現地で打ち上げをみたいと思っていたH3。
技術的なチャレンジも多いと聞いているので、うまく克服してくれることに期待したい。課題のクリアについても価格競争の面があるので大変だと思うけど。
今後の展開に注目している。
参考