都市未来総合研究所が「新型コロナウイルス感染症による国内不動産市場への影響考察」というレポートを2020年3月19日に公表した。この種のレポートはまだあまり出ていないようなので内容を簡単にメモしておく(2020/03/21)。
レポートは影響のステージを3段階に分けている。
※個人的なメモなので、正確にはレポートを参照のこと。
1 特定のアセットタイプ等に対する直接的な影響
ホテル・都市型商業施設、売上連動の賃料体系をとる賃貸不動産
収益減少は人・活動・消費の自粛傾向回復まで続く→減収
感染の収束長期化などで収益の減少期間長期化すれば破綻の可能性も。
外資系法人が当事者となる不動産取引
短期的には売買額縮減。安全資産の円買い、円高傾向から資金確保、リバランスで売却のケースでは国内投資家の買いの好機に
新築住宅・リノベーション住宅販売
住宅資材など海外生産品の受注、出荷遅れ。完成引き渡しに遅れが生じる可能性。
分譲マンションは、ショールーム営業自粛、来場者減少から当面の販売にマイナスの影響の可能性。
海外研修生受け入れ現象による人手不足。建築現場で工期遅れ、建設労務費上昇リスクが高まる、
2 景気減速と信用収縮・流動性枯渇を通じた不動産の価格面への影響
オフィス市況でのマイナス需要(既存契約床の解約)発生が起きうるか
今のところ資金確保、コスト削減のために既存オフィス床の解約まで相当規模で発生するとは考えにくい。影響は、新規需要の減少にとどまるのではないか。新規賃貸オフィスビルの契約率低下など。
直接的な影響を被る業種では、オフィス規模の縮小は起こりうる
不動産売買にかかる資金調達が困難になりうるか
多面的に状況を注視する必要がある。
信用収縮と流動性枯渇のリスクについては、現在、最も不確実性が高く、慎重に見るべき。
3 不動産市場における需給の構造変化に発展する可能性
オフィスの立地分散化
在宅勤務、サテライトオフィスなどテレワークの急速な普及から、ワークプレイスの形態多様化、立地分散化が進む可能性
製造拠点の国内回帰
中国などへの集中がリスク。製造業などで国内回帰と周辺国への移転が進む可能性。国内工場用地の需要増加の可能性
観光政策の立て直し
中国、韓国依存のインバウンド構成がリスク→国と地域の分散、見直しをはかる動きが生じる可能性。宿泊施設の業態や観光地などの受け入れ態勢に変化を求められそう