竹中工務店が基礎部分の免震構造と中間階に集中的に配置した制振装置の組み合わせで、大地震の際の高層階の揺れを大きく抑制する(免震のみと比較して最上階の加速度を40%低減)装置を読売テレビ(大阪市中央区)の新社屋に初適用したそうだ(2019/07/08)。
(竹中工務店)
概要
(竹中工務店)
低層部の面積が大きく、中間階から上に高層部分が立ち上がっている建物では、大地震の際に高層部の上階ほど揺れの加速度が大きくなる「むち振り現象」が発生する。
低層部と高層部の切り替わり部分に制振ダンパーを使った集中制振を設けることで、「むち振り現象」による加速度の増加を抑制するもの。
集中制振をしない場合に比べて高層階の応答加速度が40%減少。中間階に集中して制振ダンパーを配置することで、高層階上部の執務スペースの動線や眺望を妨げないで済むそうだ。
(竹中工務店)
採用された建物
名称 読売テレビ新社屋
所在地 大阪市中央区
用途 テレビスタジオ、オフィス
階数高さ 地上17階、地下1階、塔屋2階/85・07メートル
延べ床面積 約51000㎡
感想・まとめ
新技術というより、配置の工夫という印象。
実現のための新技術開発はあったのだろうけれど。
竹中工務店は採用物件を「プレミアムセイフティビル」と名付けている。
今回採用されたのが大災害時も業務継続が求められる放送局。低層部が広く、塔状の高層部が立ち上がっているような建物向けの構造ということで、一般のタワーマンションへの導入はちょっと違うのかな。
基礎免震構造の建物に後付けの中間階集中制振ができると、採用が広がるかも。
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東日本大震災から結構時間が経ったことや建築費の高騰など、いろんな要素があって、5〜6年前に比較すると、建物の地震対策があまり強調されなくなった。
自宅に100キロ超級の家具がある身としては、防災性能は物件選びの中でかなり重要な要素なので、少し残念に思っている。