中央区晴海勝どき2丁目と晴海1丁目を結ぶ「桜小橋」が2019年土木学会デザイン賞の優秀賞に選ばれた。この賞、2017年には月島の西仲橋や東京駅グランルーフなども選ばれている(2019/12/06)。
(中の人撮影)=2017年10月1日の開通初日
選考過程
エントリー 2019年5月1日〜6月30日
選考対象は12件。応募件数は11件、過年度の選考応募1件
1次選考 11件
2次選考 最優秀賞3件、優秀賞3件、奨励賞4件を選定
「桜小橋」概要
(中の人撮影)
歩行者専用橋。
設計期間 2009年12月〜2015年3月
施工期間 2014年7月〜2017年10月
事業費 約25億5000万円
構造ほか
PC3径間連続ラーメン橋
橋長 87・8m
最大支間 45・0m
有効幅員 4・5〜5・5m
目的
月島・勝どき・晴海の回遊性を高める
晴海通りの歩行者混雑緩和、災害時の避難路確保
デザインコンセプト
「歴史的な水辺空間の魅力を活かし、周辺地域および運河空間の回遊性を生み出すことで、今まで以上に地域の活力を向上させる歩行者専用橋と水辺空間」
(中の人撮影)
橋と橋詰空間、接続街路までトータルデザインした。
橋の全体シルエット
(中の人撮影)
水辺の魅力を引き立てることを意識。薄い桁がふわりと浮いて見えるようにした。
照明は屋形船などとともに魅力的な夜景を作り、利用者の安心感を高めるようにデザイン。
水辺の遊歩道の一部となる護岸には、築島当時の石を再利用。地域の歴史の顕在化を図った
→これは知らなかった。
講評(抜粋)
・設計から施工まで丁寧で質の高い仕事
・構造デザインと空間デザインのバランスのとれた融合
・特に優れているのは、勝どき駅側のアクセス街路から橋を渡ってトリトン側に至る一連の空間の極めて自然な連続性
・一連の歩行者空間の詳細のデザインの密度と質が一貫して高水準でまとめられている
・単体の橋を超えた地域の回遊空間の想像を目指し、設計チームの意思が感じられる。
・全体に市街橋のデザイン思想の一つのスタンダードを示し得ている
・都市の文脈や設計条件に鑑みてとても洗練された模範解
・最優秀に届かなかったのは、見るものを引き込むような表出が足りなかったか
・航路をまたぎ、バリアフリー縦断勾配以下で晴海側は現在の地盤高に合わせるため、桁高を1mとする必要があった。この桁高でたわみ、不快な振動を与えない条件で、吊構造ではなく、鋼床版桁でもなく、高強度コンクリートのラーメン構造を採用。エンジニアリングデザインで解決したお手本。
・細部のディテールが素晴らしい。
参考:東京臨海部のその他の受賞作品
感想・まとめ
応募12件中10件が受賞しているということで、あれ?と思ったが、
東京臨海部の他の受賞作品を見ても地域のランドマークとなりうる素晴らしいものばかり。
極めて高いレベルのもの以外、応募してこないのだろう。
桜小橋は個人的にもとても気に入っていて、過去の受賞作品に肩を並べる評価に値すると思う。