東京2020大会の大会組織委員会が、大会期間中の交通マネジメントに関する提言の取りまとめ作業を進めている。このほど提言のまとめ(案)が公表された。公共交通輸送と道路交通に絞って内容をみておく(2019/04/17)。
(大会組織委員会)
提言のまとめ(案)の位置付け
交通輸送技術検討会の意見を踏まえ、東京2020大会における現時点の交通マネジメントのあり方などを取りまとめた内容。
公共交通輸送マネジメント
施策
① 輸送力確保
現状
・混雑の激しい区間・時間帯を中心に、増発等の輸送力増強を図ることが必要
・朝ピーク時間帯はダイヤ、車両、要員をすでに最大限活用済。増発の余地は少ない。ピーク時間帯以外は路線により増発対応の可能性あり。
対応
2019年秋の時点の情報で需要推計。大会時の具体的ダイヤ作成を鉄道事業者に依頼
②観客の需要分散・平準化
現状
・引き続き具体的な検討.準備
対応
・テストイベントやスポーツイベント等を対象に、分散施策の有無による入退場分布の調査やアンケート調査等により効果検証のうえ、施策内容を具体化
③一般利用者の需要分散・抑制
現状 特に記載なし
対応
・企業や市民への働きかけや重点取組地区における集中的な働きかけ等により、交通需要の低減や分散を図ることが重要
朝ピーク時間帯
(大会組織委員会)
・広範囲で混雑が発生するが、輸送力増強の余地は少ない
・観客に比べ一般利用者が多い
→観客の需要分散・平準化+TDM
※混雑発生回数の想定
通常時100として大会時113
輸送力を確保したとして 113
さらに観客の需要分散・平準化併用 112
さらにTDMにより需要を1割減 62
簡単に書くが1割減は容易ではないと思う。
結局、混雑解消は需要をどれだけ減らせるかどうかにかかっているという内容。
昼前半・昼後半時間帯
(大会組織委員会)
・この時間帯は比較的輸送力に余裕
・自動車利用からの一部シフトや観客需要が加わっても、多くの箇所では必要な輸送力確保。会場近傍など一部の区間で局所的混雑
→一部区間は、会場ごとにさらなる「観客の需要分散・平準化施策」の検討が必要
※局所的な混雑の発生想定(10時〜17時、計19日間)
30分単位で混雑率150%超の1駅間を1回とカウント
・ゆりかもめ(新橋〜日の出) 7日間発生、施策なし105回→あり15回
・りんかい線(東京テレポート〜大井町) 2日間発生、施策なし27回→あり4回
その他
・駅での対策(観客誘導ほか)
道路交通に関する追加対策
首都高での流動確保策
・TDMでは首都高の交通量は減りにくい傾向。さらなる対策の検討が必要
・大会輸送の円滑化→大会期間中に限定。物流車両には基本的に適用しない
例)ナンバープレート規制/HOV(High Occupancy Vehicle)レーン
一般道での対策
・駐車場探しによるうろつき交通抑制(駐車場の予約制導入)ほか
感想・まとめ
内容を見ると、特効薬のようなものはない。
やれることは本当に限られているという印象。
物流を止めない前提で東京2020大会を動かさないといけないので、相当な苦労を重ねている。環状2号線がオリンピック輸送の動脈として機能すればなかった苦労も多いだろうに。