有明アリーナの管理運営事業に関する候補者選考結果が発表され、電通を代表企業とするグループが選定された。意欲的な提案でなかなかすごいことになるかも、と期待を抱かせる内容(2019/04/02)。
(東京都)
概要
東京2020大会の会場となる有明アリーナについて、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)に基づく公共施設等運営事業(コンセッション方式)の運営権者の候補者を公募し、応募の3グループのうち、電通を代表企業とするグループを候補者に選定。
運営期間
運営開始予定日から平成58年(2046年)3月31日まで
なお、運営開始予定日は平成33年(2021年)6月1日を予定している。
(募集要項より)
応募グループ
①緑グループ(選定)
代表企業 電通
構成員 NTTドコモ、日本管財、アミューズ、Live Nation Japan合同会社、電通ライブ、アシックスジャパン
協力会社 NTTファシリティーズ、クロススポーツマーケティング、三菱総研
②黄グループ(次点)
代表企業 東京建物
構成員 キョードー東京、キョードーファクトリー、コンベンションリンケージ、協栄、鹿島建設、ウフル、インターナショナルスポーツマーケティング
協力会社 共立、日本パーキング、スポーツビズ、鹿島建物総合管理、バディ
③赤グループ
代表企業 東京ドーム
構成員 竹中工務店、オリックス、美津濃、シミズオクト、アサヒファシリティズ、東京ドームスポーツ、東京ドームファシリティーズ
協力会社 博報堂DYメディアパートナーズ、綜合警備保障、アズビル、JTB、ソフトバンク、富士通、市川環境エンジニアリング
提案内容審査
事項の内容/緑の順位/黄の順位/赤の順位
事業全般に関する事項 ①/②/③
施設運営戦略に関する事項 ①/②/③
運営業務に関する事項 ①/②/③
維持管理業務に関する事項 ②/①/③
統括管理業務に関する事項 ①/①/③
事業収支計画に関する事項 ①/②/③
特筆すべき提案等に関する事項 ①/②/③
総合 ①/②/③
運営権対価の提案 ②/①/③
合計 ①/②/③
→緑グループを候補者に選定(実際には順位ではなく項目別得点の合計で選定)。
緑グループ提案の概要
事業の目的
都民のスポーツムーブメントを創出し、コンサート等のイベント開催により新たな文化を発信するとともに、都民サービスの向上を図り、有明アリーナを東京の新たなスポーツ・文化の拠点とする。
事業実施体制
圧倒的な誘致力と豊富な経験を有するリーディングカンパニーが集結
①大手広告代理店のネットワーク・誘致実績による国際大会誘致力
②国内・海外双方の大手エンターテインメント企業によるトップアーティスト誘致力
③地元に根差した大手総合スポーツ企業によるスポーツコミュニティの創造
④大手移動通信企業による高密度Wi-Fi等の最先端技術の提供
⑤各業種トップランナー企業の参画による安定した運営
基本方針及びその実現のための重点的な取組
①トップアスリート・アーティストから都民利用までスポーツと文化のバランスを考慮した、質の高いスポーツ大会や魅力的なイベント開催などのコンテンツを提供
・「箱貸しからコンテンツ編成へ」を合言葉に、グループ各社の圧倒的な誘致・運営実績を背景に、質の高いイベントを誘致・編成するとともに、「スポーツと文化/公共性と収益性」の好バランスを達成し、有明アリーナのブランド化を実現
・世界のトップアスリート・アーティストから地域住民の参加型イベントまで幅広く企画し、施設利用を促すとともに、次世代のアスリート育成と都民の健康増進に貢献
・東京2020大会のレガシーを継承し、ボランティア文化を定着させるため、本施設主導でスポーツボランティアを組織化
②有明アリーナを拠点にイベント開催などにより新たな文化を創出し、周辺エリアの街づくりに貢献
・周辺施設等と連携するとともに、地域の回遊性を高めるコンテンツの提供等により、周辺エリアの活性化を実現
③ITへの継続的な投資によりアジアを代表する最先端スマートアリーナとしての地位を確立
・施設と来場者を繋ぐ独自の「アリーナアプリ」と「アリーナ内高密度Wi-Fi」の提供
・エントランス大型映像ビジョン等の「デジタル演出」の整備により、新たな感動を提供
・特別なVIPテラス席の設置や、ファストレーン(事前に支払い済みの客が優先的にサービスの提供を受けられるレーン)によるフードサービスの提供等、快適で便利な「観戦環境」の整備
(東京都)
講評
黄グループ(抜粋)
・幅広い分野から構成する特定目的会社。専門性を生かしたアリーナ運営が期待される
赤グループ(抜粋)
・安全管理について実績に基づく具体的提案があった
選定理由:緑グループ
緑グループの提案は全体を通じて優れており、特に事業実施体制の安定性及 び実績、誘致力や企画力、積極的な追加投資とその内容の充実度、都の利益享受を重視した 業績連動支払を高く評価し、候補者として選定
審査委員会の総評(抜粋)
・国内外の大規模イベント等を積極的に誘致し、本施設のプレゼンスを高め、本施設を都民のレガシーとしていくことを求める
・実現にあたっては周辺施設や行政等との十分な連携調整を行い、提案内容の確実な実現、安定的運用を求める
・本施設を東京の新たなスポーツ・文化の拠点とすることを期待したい
感想・まとめ
講評では
「イベント開催や大会運営等に豊富な実績を有し、構成員の強力な世界的ネットワークを活用して、大規模なスポーツ大会、イベントを誘致する計画である点を高く評価した」
「メインアリーナとサブアリーナの特徴に応じた使い方を提案し、具体的には、サブアリーナでは観客から入場料を徴収しないスポーツ利用について、利用料金を低廉に設定するとともに、障害者スポーツ団体へ特別優先予約・料金を適用するなど、アマチュアスポーツに配慮した提案である点を評価した」
とあった。
これは・・・これ以上ない朗報じゃないですか。
積極的投資というのと、周辺エリアのまちづくりに貢献というのがいい。
(東京都)
東京2020大会では、観客ルートは有明通りを横断させないようにしている。これはペデストリアンデッキがないため、ここを横断させると公共交通機関(都営バス等)の輸送力に影響が出る可能性があるからだろう。
ところで、大会後を想定した提案では、周辺エリアの回遊性に触れている。
国際規模の大会が繰り返し開かれるとなれば、最寄駅となる東京臨海高速鉄道国際展示場駅からの歩行者動線を通す必要がある。
そうなると、有明通りの交通に影響しないようペデストリアンデッキを整備する緊急性もかなり高いのではないだろうか。児童の通学の安全確保にも貢献する。
例えばこんなイメージ。高さ8メートルあれば首都高との離隔も十分な気がする。
(中の人作成)
有明アリーナがやや不便な場所にあるだけに、
このグループが何をやってくれるのか、大いに期待したい。
(中の人撮影)=2019年4月
参考
有明アリーナでIT技術活用へ|NHK 首都圏のニュース https://t.co/U8lyerYNde
— どらったら! (@Chuoinfom) 2019年4月7日
企業グループは、都に対し再来年6月からおよそ25年間の運営権の対価として93億円余りを、また年間の利益のうち半分を、それぞれ支払うということです。