東京都交通局が2019年度~2021年度の3カ年の経営計画を発表した(2019/1/25)。
(東京都交通局)
全104ページ。興味ある部分のみ取り上げる。東京臨海部に絡む話は2016年度の前回経営計画で出ていて、目新しいものはほぼない印象。
交通局を取り巻く事業環境
東京都の人口は2025年の1408万人をピークに減少。都心部・臨海地域では2025年以降、しばらくは交通需要が増加する見込み。長期的には大幅な増加は期待できない。
地下鉄
・1日あたりの乗客数 275万人(2017年度)
・累積欠損金2604億円(2017年度末)
・都心部・臨海地域を中心としたまちづくりの進展などにより、当面は乗客数増加。少子高齢化の進行で長期的には大幅な増加は期待できない。
バス
・1日あたりの乗客数 63万人(2017年度)
・6割を超える路線が赤字。
・当面は車両更新などで赤字が続く。
・乗務員の大量退職の時期に入り、乗務員確保が一層困難に
都電
・1日あたりの乗客数 4・8万人
・2008年度以降赤字基調。今後も厳しい経営続く
日暮里・舎人ライナー
・1日あたりの乗客数 8・6万人。開業以来増加続く。
・車両、設備の増設、更新を控え、経営状態は極めて厳しい状況が続く
計画期間における具体的な取り組み
1 安全・安心の確保
ホームドア設置
新宿線 全駅完了(2019年度秋 )
浅草線 準備工事(2019年度) 4駅(20年度) 完了(23年度)
可動ステップの試験設置
(東京都交通局)
大江戸線浜松町変電所(仮称)を新設(2024年度竣工)
2 質の高いサービス提供
輸送力の増強とダイヤ見直し
都心部・臨海地域を中心に輸送需要は今後増加。混雑緩和、定時制確保、利便性向上へ地下鉄の輸送力状況とバス路線拡充によるダイヤ見直しを実施
三田線 2022年度から一部編成を6両→8両
新宿線 2022年度までに全編成10両化(2021年度はうち4編成)
臨海地域の新たな営業所整備
(東京都交通局)
増加する臨海地域の需要に対応するため、有明地区に都営バスの新営業所開設(2019年度完了・開設)
大江戸線の大泉学園延伸
課題解決に向け関係機関と連携
地下鉄の車両更新(2019年度/20年度/21年度)
大江戸線 4編成/4編成/4編成
浅草線 7編成/7編成/5編成(全27編成完了)
三田線 ー / ー /9編成
新宿線 ー / ー /4編成
その他
フルフラットバスの導入拡大
バス停留所への正着をアシストする自動走行制御システムなど導入検討
九段下駅の大規模改良で都営新宿線/メトロ東西線/半蔵門線の共通改札口設置(2019年度)
都営三田線の東急新横浜線(2022年度下期開業予定)との直通運転へ関係機関と協議
3 東京の発展への貢献
浅草線リニューアル
都営浅草線で雷門への玄関口としてバリアフリー化された出入り口新設へ準備
泉岳寺の大規模改良
(東京都交通局)
・泉岳寺駅の拡張ホーム供用開始(2024年度予定)
燃料電池バス導入
東京2020大会までに最大70両、2021年度までに最大80両導入を目指す
※減ったのか増えたのか微妙。「最大」とか、以前はなかった表記。
4 東京2020大会の成功に向けた取り組み
(東京都交通局)
大会期間中 列車増発と終電の延長を実施
5 ICTや新技術の活用
QRコードを利用したホームドア整備
(東京都交通局)
次世代バスの導入検討
(東京都交通局)
その他(都営バス財政収支見通し、単位 億円)
2022年度 収入489(営業収益471) 支出499(営業費用482)
2024年度 収入492(営業収益474) 支出492(営業費用475)
2026年度 収入494(営業収益477) 支出475(営業費用458)
2028年度 収入489(営業収益479) 支出471(営業費用454)
→収入増より支出減(大量の退職者が出る関係?)による収支改善の意味合いが強そうな見通しとなっている。
まとめ・感想
目新しいものがほとんど感じられないが、それは決して悪いことではない。
決めたことについては着実に前に進んでいるとも言える。
QRコードの話はなかなか面白かった。
参考