日本橋上空の首都高を地下化する「首都高日本橋地下化検討会」のまとめを受け、残る課題となっていた「大型車の環状機能確保」に関する検討会が2018年12月25日に開かれた。
簡単にまとめると
KK線は制限速度が40キロ。これを構造の強化により首都高速と同じ60キロとするには、線形の改良や道路の拡幅(2→4車線化)などが必要だが、周辺の建物に影響してしまう。
また、別線を整備する案についても、地上に整備した場合は外堀通りの車線数が減るなど地上部に大きな影響が出るほか、周辺の建物への影響が懸念される。
地下案では別線を地下鉄のさらに下を通さなければならなくなる上、八重洲線との接続でKK線と相互に構造が干渉してしまう。回避しようとすると別線の縦断線形が道路構造令を満たさなくなる。
見た限り、解決はかなり困難な印象。
どうするんだろう。
前置き:首都高日本橋地下化検討会(すでに終了)
首都高日本橋区間地下化の対象区間
検討会では事業費約3200億円の分担などがまとまり、大型車の環状機能確保が課題として残されていた。
日本橋区間地下化の際、都心環状線の大型車通行を確保するため、
・KK線の構造強化/KK線の地下に別線整備
を検討をすることになっていた。
前置き:東京高速道路(KK線)の概要
銀座周辺の外堀、汐留川、京橋川を埋め立てて作った。
1953年 着工
1983年 八重洲線と接続
1日の交通量は約3万台
道路建設費と運営費をビル賃貸収益で回収し、通行料金は無料。
規制速度 40キロ/時
全長 約2キロ
片側1車線区間(0・7キロ)
片側2車線区間(1・3キロ)
設計車両重量 20トン(首都高は25トン対応)、大型車の通行規制を実施。
今回の検討会より
大型車の環状機能確保の必要性
バス
都心環状線は年間約200万台が利用。
都心環状線出入口は年間120万台が利用
大型貨物
都心環状線は年間1500万台が利用
都心環状線出入口は年間260万台が利用
環状機能が確保されない場合
埼玉→銀座方面の大型車は大きく迂回することが必要。
都心環状線の利便性が低下し、大型車が一般道に転換する可能性。
大型車対応にするためKK線の構造強化をした場合の課題
・KK線の全線で大型車の通行を可能とするには、耐荷重(25t)確保のための構造の補強(床版補強、桁補強)が必要
大型車対応への線形改良の課題
・KK線のJR並走区間の直線部で大型車の通行を可能にするには、道路構造令を満たした幅員の確保(路肩、中央帯の拡幅)が必要。ただ拡幅するとKK線が街路上に張り出し、現在の街路を移設する必要が生じる。周辺の街路や建物への影響が課題
・KK線と八重洲線の接続において、大型車の通行を可能とするには、道路構造令を満たした縦断勾配の確保が必要。ただ、有楽橋下の街路(有楽町側と銀座側のアクセス機能)が通行不可とならないよう改良すると、八重洲線と交差するKK線との離隔が確保できず、西銀座付近のカーブ部の接続が困難
・KK線の土橋付近のカーブで大型車の通行を可能とするためには、道路構造令を満たした曲線半径の確保が必要。KK線が街路上に張り出し、その構造を支えるための橋脚を、現在の街路や民地に設置する必要が生じる。
別線を地上に整備する案
・別線を地上のKK線に接続する場合、八重洲線の地下から地上へ上がる坑口の新設が必要→外堀通り直上に抗口の設置が必要となり、外堀通りと鍛冶橋通りの交差点機能が大幅に縮小し、街路交通に大きな影響。KK線から都心環状線への接続においても、周辺の建物への影響が課題
別線をKK線の地下に整備する案
・別線を東京高速道路(KK線)の地下に整備する場合、地下鉄(銀座線、浅草線)と地下埋設物が存在する。 地下鉄と街路の間に、別線を導入できる空間が無いため、別線は地下鉄の下の空間を利用⇒ 施工時の地下鉄への影響等について検討が必要。 地下埋設物については、機能確保を考慮した防護や移設場所の確保※が必要。
都心環状線接続部における大規模更新事業(築地川区間)への影響も。
※勝どき駅の大規模改良工事を見ても、これ、どれだけ時間かかるかわからん。
KK線と八重洲線の接続への影響
さらに別線(地下案)と八重洲線との交差部でお互いの構造が干渉
する。干渉を回避しようとすると、別線の縦断線形が道路構造令を満たさない⇒ 別線を整備した場合、KK線と八重洲線の接続が困難
まとめ
全然だめじゃん。無理ちゃいますか。
そんな印象。
参考リンク